向抹茶(むこうまっちゃ)が応援している九州の小さな地区 八女 には、600年もの歴史のある茶畑と代々続くお茶農家さん達が、毎年心を込めて日本が誇る 緑茶 を丹精込めておつくりになられています。

しかし、お茶(緑茶)を急須で飲む人口がどんどん減っており、仕方なく兼業農家になり、ついには廃業されるお茶農家さんも少なくありません。八女茶は、「品質のいい、本当に美味しいお茶(緑茶)の生産」を守り続けようと味に妥協せず“コクと甘味のある”をお茶(緑茶)をつくり続けていらっしゃるお茶農家さんがまだまだ沢山いらっしゃいます。

お茶(緑茶)は、嗜好品としてよく知られていますが、実は昔は“薬”だったそうです。知られざるお茶(緑茶)の効果・効能をぜひ皆様に知って頂き、日本茶(緑茶)の素晴らしさを再確認して頂き、“健康の為に飲んでみよう”と思って下さる方もいらっしゃるのではないかなと思い (社)静岡県茶業会議所 が発行されていらっしゃる「知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ」 に書かれている内容をご紹介致します。

私たちが昔から長年親しんできたお茶(緑茶)にはこんなにもすごい効能や効果があるということを私たちは知らずにいました。もう一度しっかりと日本茶(緑茶)について知識を持ち、これまで何気なく飲んでいたお茶(緑茶)天然栄養成分が豊富なサプリメント、“健康茶”として毎日飲む習慣をつけましょう。

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お茶(緑茶)は紀元前から、不老長寿の仙薬として珍重されてきました。世界最古の茶の科学書「茶経」「喫茶養生記」が有名です。しかし、お茶(緑茶)は高級品で貴族しか飲めなかった為、庶民がお茶(緑茶)を飲むようになったのは、江戸時代以降となります。

また、お茶(緑茶)を飲むことの保健効果が科学的根拠を持って語られるようになったのは、1980年代からで以外と新しいことです。

お茶(緑茶)とがん予防に関する研究は、静岡県のお茶(緑茶)をよく飲む地域において、胃がんの標準化死亡率が低いということから、茶カテキンの研究が活発にになりました。

当時お茶(緑茶)成分のうち、ビタミンC、カフェイン、テアニン、カテキン、がよく知られていました。

みなさんは、「お茶を一服。」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。この“一服”というのは、お茶が昔、“”だったことから、きている言葉です。

昔々中国で、農業と医療を教えたといわれている「神農」という伝説の人が、自分の体を使って、さまざまな草木の毒や薬効を確かめ、書物を書いて人々に教え伝えたそうです。そして、毒がある草を食べてしまったたびにお茶で解毒した、と言い伝えられています。(静岡県立大学名誉教授 伊勢村護)※“知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ (PDF)”. 公益財団法人 静岡県茶業会議所. 

次の方は、栄西さんというお坊さん。この方は、喫茶の習慣を日本で広めた方で、『喫茶養生記』という書物まで書くほどお茶に詳しい方だったみたいです。上下2巻からなるこの書物、1巻目は、お茶の種類や抹茶の製法に関して、身体を元気にするお茶の効用が書かれていて、下巻では飲水(現在の糖尿病)、中風、不食、瘡、脚気の五病に対する桑の効用と用法が説かれているそうです。この『喫茶養生記』に、「お茶は延齢の妙薬、養生の仙薬」と書かれていて、お茶が薬として捉えられていたことが残されています。

こうして昔は“”と考えられていたという“お茶”。現代では、抗がん、抗肥満、抗酸化(老化)抗ウィルス、 抗アレルギー、抗ストレス、抗菌等、防ぐ、予防する、 抑える、減らす、緩和する等の作用、体脂肪が減り血圧の上昇、動脈硬化、糖尿病やインフルエンザ等々に対 する予防、抑制効果など、もっと詳しく“お茶の効能・効果”が実証されています。

このようにお茶(緑茶)は、味や香りを楽しむ嗜好品としてはもちろん、生理機能の向上、疾病の予防や症状の改善の働きとして、保健飲料を持つ食品にも当たります。

現在お茶(緑茶)生理機能の向上、疾病の予防や症状の改善での働きの研究は世界規模で行われていて、その発表論文数は 10年前の約3.5倍にもなっており、緑茶や緑茶成分に関する報告がその6割以上を占めていま す。

また、味や香りなど の嗜好面での働きとしては、独特な味や香りをもつお茶は、ストレスを和らげ、やすらぎを与 えます。現代のようなストレス社会ではみんな強いストレスを感じており、ストレスは様々な病気を誘発し、悪化させ、その進行を早めることが知られています。

お茶(緑茶)を飲むことによって、ス トレスが和らぎ、人々の交流の場ができ、楽しみながら多種類の機能性成分を摂ることができます。お茶(緑茶)は鎌倉時代から精神修養的な要素をもって広まり、また”茶の湯”という独特の精神文化を生み出す、などして発展してきた食品でもあります。

このように嗜好品としてと、保健機能を合わせ もつお茶(緑茶)は、その精神的文化と機能性の科学をさらに融合させることによって、健康に果たす役割の重要性が一層明らかになるものと思われます。

今から25年ほど前に、静岡県のお茶どころ中川根町(当時)では胃がんによる年齢調整し た死亡比が低く、全国平均100に対し、男性では20.8、女性では29.2という驚くべき結果が 発表されました。

この結果をお茶と関係づけた研究をきっかけに、一躍お茶(緑茶)の抗がん作用の研 究が進みました。多くのマウスやラットを使った実験では、発がん剤を投与した動物にお茶(緑茶)を 飲ませると、発がん率が減少すること、がん細胞を移植した場合もがんの増殖や転移が抑制されることが示されています。

お茶(緑茶)には様々な成分が入っていて健康維持に役立ついろいろな作用がありますが、抗がん作用の主な担い手は、緑茶ポリフェノールであるカテキンの中のエピガロカテキンガレート(EGCG)です。

がん細胞の培養液にエピガロカテキンガレート(EGCG)を加えると、がん細胞の増殖が抑えられたり、細胞が死滅したりしま す。エピガロカテキンガレート(EGCG)がこの作用を示すメカニズムはいくつか考えられますが、主なものはアポトーシス を誘導することです。

アポトーシスは、不要な細胞が除かれていく時に起こる生理的現象です が、がん細胞に誘導すれば、がん細胞自身を死滅させることができます。

実際、このメカニズ ムで作用する抗がん剤がいくつか知られています。図に示すように、エピガロカテキンガレート(EGCG)が、がん細胞表面に あるタンパク質に結合すると、その信号が核に伝わってDNAが切断され、細胞が分断されて 死滅します。

エピガロカテキンガレート(EGCG)正常細胞よりもがん細胞に強くアポトーシスを誘導します。

また、がん細胞 は細胞周期と呼ばれる過程により細胞分裂を繰り返して増殖しますが、エピガロカテキンガレート(EGCG)はこの過程で働く様々な因子に作用してがん細胞周期を止め、がん細胞増殖を阻害します。

一方、生体内で発生した活性酸素によりDNAに傷がつくことが、がんの原因のひとつですが、エピガロカテキンガレート(EGCG)活性酸素を消去する力があり、それにより発がんを抑制することも考えられます。  

お茶(緑茶)カテキンが人に対しても抗がん作用があるかどうかはまだ確定していませんが、最近の疫学調査研究で、お茶(緑茶)を飲む人は胃がん、前立腺がん、肝がん、卵巣がん、子宮内膜がんなどになる危険性が低かったという報告があり、臨床介入試験で緑茶カテキンが前立腺がん予防に効果があったという論文もあります。

これらのことは今後の臨床試験などで確かめていく必 要があります。最近、緑茶カテキンを軟膏とした製剤が良性扁平上皮腫瘍の一種である陰部にできるイボの治療剤としてアメリカFDAの認可を受け、現在、いくつかの臨床試験により治療効果があることが認められています。

お茶(緑茶)のがん予防に関する研究が本格化したのは1980年代からで、試験管内の実験から始ま り、動物や人を対象とした研究へと進んできました。

動物実験までの段階では、圧倒的に多く の事例でお茶(緑茶)発がん抑制に有効であることが示されています。

現在、人のがん予防において お茶(緑茶)の飲用が有効であるかどうかに 関心が向けられていますが、臨床 介入研究や疫学研究に多くの困難が伴うため、国際機関(World Cancer Research Fund, 2007) は人のがん予防因子としての評価を見送っています。

お茶(緑茶)有効成分は、主にカテキ ン類と考えられており、これまで に発がん開始(突然変異)の抑制、 発がん促進・進展の抑制、がん細胞のアポトーシス(自己死滅)促 進、がん転移の抑制、血管新生の抑制など、いろいろな作用メカニ ズムが明らかにされてきました。  

健康な人に対するがん予防には、コントロールするのが難しい発がん開始段階(突然変異)よりも、発がん促進段階(発がんプロモーショ ン)を標的にする方が効果的と考えられていま す。

培養細胞を使った実験では、4種の茶葉のうち、緑茶に最も強い発がんプロモーション抑 制作用が認められました。また、その 活性は緑茶では、2/3がカテキンに由来します が、他の発酵茶では、水溶性高分子画分(TNDs) に主活性が認められ、TNDsは発がんプロモー ションに関与するAP-1という因子の働きを著しく抑えることがわかりました。 このように、お茶(緑茶)は発がん促進過程を抑制す ることによっても抗がん作用を発揮しますが、 活性成分はカテキンだけではないので、生活の様々な場面に合わせて好みのお茶(緑茶)を選び、保健効果を期待しつつ、楽しく飲むのがよいでしょう。

大腸ポリープ(腺腫)大腸がんの前がん病変であり、大腸ポリープの切除は、大腸がんに なる危険性を減少させると考えられています。また大腸ポリープは、内視鏡を使って切除した 後も、数年の内に再発しやすいことが知られています。

内視鏡的に大腸ポリープを切除した患者さんに、普段通りお茶(緑茶)を飲んでいただいた上で、緑茶抽出物(1日1.5g)をサプリメントとして摂っていただいたところ、摂取していない患者 さんと比べて大腸ポリープができにくいこと(再発しにくいこと)、またポリープができたと しても、大きさが小さいことがわかりました。

次に、日常のお茶(緑茶)摂取量と大腸ポリープの再発 に関連があるか調べたところ、1日に平均10杯以上の緑茶を飲んでいる患者さんでは、ポリ ープが再発しにくいことがわかりました。 計算すると、大腸ポリープの再発を予防するためには、1日に約2.5gから3.0g以上の緑茶 抽出物を摂取することが必要と考えられます。お茶(緑茶)を飲むことや、サプリメントを上手に用い ることで十分量の緑茶抽出物を摂取し、大腸ポリープの予防をめざしましょう。

「緑茶抽出物サプリメントの投与による内視鏡的切除後における大腸ポリープの再発予防効果」

内視鏡的に大腸ポリープを切除した患者さんに、緑茶抽出物のサプリメントを1年間摂っていただいたところ、ポリープの再発率は31%から15%に低下し、再発したポリープの大きさ も小さくなっていました。

高濃度茶カテキンを継続して摂取すると、体内の脂質代謝活性が高まり、エネルギーとして 脂肪を消費しやすくして、体脂肪を低減させる効果があることがわかりました。

すなわち、やや太めの男女80名を2群に分け、食生活および運動量を日常生活そのままに維持した状態で 茶カテキンを含む飲料を1日1本、12週間継続して飲んでもらう試験を行いました。その結果、高濃度茶カテキン飲料を継続して飲んだ群は、コントロール飲料を飲んだ群に比べて、体重、 BMI(体格指数)、腹部脂肪量(内臓脂肪量、皮下脂肪量)が減少することがわかりました。  

また、多くの試験結果から、体脂肪を減らす効果は、①茶カテキンの摂取量と相関すること、 ②試験前に内臓脂肪が多い人ほど大きいこと、がわかりました。  

これまでの研究結果から、高濃度の茶カテキンを継続して摂取することによって、日常活動時の脂肪燃焼量や食事から摂った脂肪の燃焼量が増大すること、肝臓や筋肉での脂質代謝が活発になることが確認されています。

以上のことから、茶カテキンの働きにより脂肪がエネルギ ーとして消費されやすくなるため、体脂肪が減少すると考えられます。

近年、日本でも脂肪が多い西洋型の食生活が一般的になっており、その結果、社会問題にもなっているメタボ(メタボリック シンドローム)の患者さんが増えていま す。メタボの主な原因は肥満です。肥満になると高脂血症や高血圧などになり、糖尿病へと進展します。さらに、動脈硬化症の原因ともなり、その結果、死につながる心筋梗塞や脳卒中などの疾患が引き起こされ ます。わが国でも、すでに成人の5人に1人が肥満であるといわれていますので、その予防が健康な生活を送るのに、とても大事であることは言うまでもありません。

お茶(緑茶)には肥満抑制作用(脂肪蓄積抑制作用)があることが実験で確認されています。 マウスにお茶(緑茶)粉末を2%混ぜた餌を4ヶ月 間与えたところ、餌を食べる量が変わらないのにも関わらず、普通の餌を与えたマウ スと比べて、お腹の中の脂肪の量が約60 %も少なくなっていました。そして、血液中や肝臓中の脂肪の量も著しく減少してい ました。

さらに、お茶(緑茶)の主要成分である茶カテキンカフェインの2つの成分を組み合わせると、お茶(緑茶)と同様の脂肪蓄積抑制作用があることがわかりました。この抑制メカニズムとして、茶カテキンカフェイン肝臓や脂肪細胞の脂質代謝を改善すること体内の熱産生機能を促進することがわ かり、運動と緑茶成分の摂取を併用することで効率よく脂肪が消費され、肥満が抑制できることがわかりました。

摂取した脂肪は、膵臓から分泌される消化酵素(リパーゼ)によって分解され、小腸から吸収され血管に入ります。

このため、食後に血中の中性脂肪が一時的に上昇し、その後代謝されます。

しかし、代謝異常等により血中の中性脂肪が高い値を持続すると体脂肪や内臓脂肪が蓄積して肥満の原因になることが知られ ています。

肥満は、心筋梗塞や脳梗塞などの様々な病気の危険因子となります。  

動物実験により、お茶(緑茶)に多く含まれるエピガ ロカテキンガレートなどのガレート型カテキンの投与では、血中の中性脂肪の上昇が抑えられることがわかりました。

これは、膵臓から分泌されるリパー ゼの活性が抑えられて、脂肪の分解が緩やかになったためと考えられます。

BMIが高めの人に、ガレート型カテキン90% 以上の茶カテキン215.3mgを含む飲料を1日2本、食事の際に1本、12週間にわたり毎日 飲んでもらったところ、4週目から12週目ま で、BMIおよび体重が初期の値および対照群の値に比べて低下しました。

体脂肪や内臓脂肪も 12週目に低下しました。これは、ガレ ート型カテキンの作用により食後の血液中の中性脂肪の上昇が抑えられたことが一つの要因と考えられます。  

なお、BMIは体重(Kg)÷(身長(m))2で計算される値で、肥満度の指標です。

毎日120ml(湯のみ1杯程度)以上のお茶(緑茶)を1年以上飲み続けている人は、お茶(緑茶)を飲む習慣がない人に比べて高血圧を発症する危険性が46%低い、という疫学調査の報告があり、習慣的にお茶(緑茶)を飲むことによって高血圧を予防できる可能性が示されています。

お茶(緑茶)の血圧への影響を調べるため、茶カテキンが主成分である緑茶ポリフェノールの水溶液 を高血圧モデル動物に3週間飲ませると、高血圧モデル動物は加齢に伴って血圧が上昇します が、緑茶ポリフェノールを与えた緑茶群では血圧上昇が抑制されました。

また、緑茶群では血管を拡張させる一酸化窒素が血中で増加しており、その血管を調べると 活性酸素除去酵素であるカタラーゼが増加し、血管平滑筋細胞の収縮が抑制されていることが わかりました。  

体内の過剰な活性酸素は様々な 病気の発病・進展に関与しており、 高血圧患者でも正常血圧の人に比 べて活性酸素が増加していること が報告されています。緑茶ポリフ ェノール自身も活性酸素を除去す る働きがありますが、緑茶を飲むと、体内の活性酸素除去酵素が増え、血管拡張が促進される結果、 血圧上昇が抑えられると考えられ ます。

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)するこ とにより、脳内の細胞の一部が壊死したり、働きが悪くなってしまい、手足の麻痺や意識障害 などの神経症状があらわれた状態をいいます。

脳卒中は、かつては死因の第1位でしたが、治療法の進歩や血圧の管理により死亡数は減っており、現在では、悪性新生物(がん)、心疾患に次いで、第3位となっています。

しかし、脳卒中の患者数は、高齢化に伴い、今後も増加す ることが予測されています。  

脳卒中の特徴は、後遺症として身体機能障害や精神機能障害が残ることで、介護が必要とな った原因の第1位となっています。

すなわち、脳卒中になると、患者さんはもちろんのこと、 その家族にとっても、大きな負担がかかることにつながりますので、その予防や脳卒中発症時 の脳障害を軽減することはとても重要です。

遺伝的に高血圧を発症して、その後、脳出血を起こす実験動物モデルである脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットに、緑茶より抽出した茶カテキン(ポリフェノンEⓇ、エピガロカテキ ンガレート58.4%含有)の0.5%水溶液を若い頃から飲ませると、水を飲ませたラットに比べ て血圧の上昇が穏やかとなり、脳出血が起こりにくくなることが明らかとなりました。

また、 茶カテキン製品であるポリフェノンEの0.5%水溶液を5日間飲ませたラットを用いて、一時 的に脳血流を止めて実験的な脳梗塞を起こさせた場合においても、水だけを飲ませたラットに 比べて、脳障害の程度が小さく、神経症状も軽くなることがわかりました。  

これらの茶カテキンによる脳卒中予防効果・脳障害軽減効果は、茶カテキンがもつ、血圧を 上昇させるホルモンの生成を抑える作用や、脳卒中が起きたときに生成される活性酸素を除去 する作用が関係していると考えられます。

コレステロールは細胞膜の構成成分であり、低密度リポタンパク質(LDL)はこのコレステロールを肝臓から血管を通って末梢組織へ運ぶ重要な役割をしています。

末梢組織はコレステ ロールを十分取り込むとそれ以上コレステロールを取り込みません。

そのため必要以上のコレステロールがあると血液中のLDL濃度が上がってきます。

長期間LDLが血液中にあるとLDLは 内皮下に浸潤し、酸化されて酸化LDLとなります。この酸化LDLは血管の一番内側にある内皮細胞を傷つけ、血栓ができやすい状態にします。

血液中の白血球の一種である単球は、酸化 LDLを見つけるとそこへ集まり、分化してマクロファージとなって酸化LDLを食べて除去しま す。

マクロファージは酸化LDLがなくなるまで食べ続けますが、食べきれないと泡沫化細胞と なり、最終的には死んでしまいます。

つまりコレステロールをたくさん食べたマクロファージ の死骸が血管内(内皮下)に残るのです。これが動脈硬化巣形成の始まりです。  

このことから、LDLが酸化LDLになるのを防ぐことが動脈硬化の発症・進展の抑制に重要であると考えられます。

ブタ血液より取り出したLDLを酸化させる実験で、エピガロカテキ ンガレート(EGCG)エピカテキンガレート(ECG)などの茶カテキンがこの酸化を強く抑制することがわかりました。

また、血栓の形成に重要な働きをする血小板の凝集もEGCGECGが強く抑制することが認められました。

次に、緑茶より抽出した茶カテキン(商品名 ポリフェノンE、EGCGを約60%含む)300 mgを朝夕1日2回、1週間与えた後、血液から LDLを調製して、どのくらい酸化されているかを調べたところ、ポリフェノンEを摂取してい ない人に比べてLDLの酸化の程度が低いことがわかりました。

また、動脈硬化を発症するマウ スにポリフェノンE(0.08% 水溶液)を14週間飲ませると、大動脈の動脈硬化巣の面積が小さくなることがわかりました。  

以上のことから、緑茶を飲むと、 茶カテキンが消化管から吸収され て血中に入り、LDLの酸化が抑え られて、動脈硬化の発症・進展が 予防できると考えられます。

茶カテキンは水溶性のため、比較的速やかに腎臓から尿中に排出されてしまいます。

茶カテキンの血中濃度を維持するためには、一日数回緑茶を飲むことが必要です。

私たちが最近よく耳にするのは、“カテキン”ですよね。それではまず“カテキンとは?”から調べてみましょう。

デンプンや砂糖などの糖質を含む食品を食べると、血糖値が上昇します。これは、糖質が小腸にある消化酵素によって分解され、吸収されて血中に入るためです。

血糖値が上昇すると、 インスリンが分泌され、血糖値を正常値まで下げるように働きます。

健康な人の血糖値は、インスリンなど様々なホルモンの働きによって一定の範囲内に調節されています。

この血糖値の 調節機能が何らかの原因で低下し、血糖値が高くなってしまう状態が糖尿病です。

茶カテキンには、糖質の吸収を穏やかにする働きがあります。

食品中の糖質は、小腸で消化 酵素(α-グルコシダーゼ)によってブドウ糖や果糖などに分解された後、体内に吸収されます。

茶カテキンは、このα-グルコシダーゼの活性を抑えることで、体内への糖質の吸収量を減少 させ血糖値を低く抑える働きをもっています。

人における茶の血糖上昇抑制作用を明らかにするため、1個あたり0.75gの抹茶を含む菓子パンを摂取し、血糖値の変化を対照の菓子パンと比較する実験を行いました。

その結果、抹茶パンの場合の血糖値は食後45分および60分で対照パンの場合に比べ低く抑えられました。

このように、糖質を多く含む食品と茶カテキンの組み合わせは、糖質の吸収を抑え、血 糖値を低く保つために有効であるといえます。

糖尿病は、食後の高血糖や高血糖状態の慢性化など血糖値が病的に高い値を示す病態です。

糖尿病にはいくつかのタイプがあり、わが国の糖尿病の約9割が食事や運動など様々な生活習慣が原因となって起こる2型糖尿病であるといわれています。

高血糖状態を治療せずに長期に放置すると、毛細血管の障害がおこり、網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症の起こる頻度が高くなります。

糖尿病の治療は病因や重症度によって異なりますが、2型糖尿病初期においては、特に重要な食事療法と運動療法に加えて、薬物療法による血糖値のコントロールが 行われます。

糖尿病治療薬としては、腸管からのブドウ糖吸収阻害、インスリン分泌刺激、末梢インスリン感受性改善、糖新生抑制、などの作用をもつものが使われています。

糖新生とは、体内で糖以外の物質(乳酸やアミノ酸など)からブドウ糖ができることをいいます。  

培養細胞や動物を使った実験により、茶カテキンはアミラーゼ活性の阻害、肝糖新生の抑制、膵細胞の保護、インスリン分泌の促進、筋肉へのブドウ糖取り込みの促進、抗炎症作用など実にいろいろの作用を通して抗糖尿病作用をあらわすことがわかってきました。

実際に、人の糖負荷試験においても、緑茶の血糖値抑制効果が認められています

さらに、緑茶には同様の効果を示すカテキン以外の成分が存在することも明らかになっています。  

このように、緑茶を飲むと、そこに含まれる種々の緑茶成分によるマルチな作用メカニズム によって、糖尿病の予防や改善ができると考えられます。

糖尿病は肥満症や動脈硬化症などの 他、肝臓がんや大腸がんなどのリスクを高めるので、習慣的に緑茶を飲むことは様々な疾病の 一次予防に役立つと期待されます。

お湯あるいは緑茶(抹茶粉末1.5g/150ml)を摂取後、グルコース負荷試験を行ない、 経時的に血糖値の測定を行なった結果、緑茶摂取群で有意に血糖値が抑えられること がわかりました。

緑茶にはインフルエンザの原因となるウイルスや小児の風邪の原因となるウイルスに直接作 用して、これらのウイルスの感染を無力化する成分が含まれています。

茶カテキンはその代表です。

インフルエンザウイルスは、ウイルス粒子の表面からスパイク状に突き出した2種類の タンパク質を利用して喉や鼻腔の細胞に感染します。

茶カテキンは、スパイクタンパク質に直接作用して、その働きを抑えることでインフルエンザウイルスの感染を防ぎます。

茶カテキンの中でも特にエピガロカテキンガレート(EGCG)強い作用を示すことが明らかになってい ます。

また、茶カテキンとは異なりますが、乾燥茶葉中に0.5%程度含まれているストリクチニンと呼ばれる成分も、インフルエンザウイルスや小児の風邪の原因となるウイルスの感染を強力に抑えることが明らかになってきました。

ストリクチニンの作用は茶カテキンとは異なっ ていて、ウイルス膜と細胞膜が結合するのを邪魔することによって、ウイルスの感染を防ぐと考えられます。

インフルエンザは、主に冬季になると猛威を振う急性の重症上気道感染症です。

感染はインフルエンザウイルスによって起こり、飛沫や接触により流行が拡がります。

感染力が非常に強く、肺炎、脳症に進展することもあり、その予防対策は非常に重要です。

インフルエンザの予防対策には、ワクチンの接種、手洗い、マスクの着用、うがいの励行などがありますが、どの 方法を取ってみても万全とはいえません。

このような予防対策に加え、最近、茶カテキンでうがいすることや、緑茶を飲んでインフルエンザを予防しようという試みが注目されています。

茶カテキンは、インフルエンザウイルスの表面にある突起(スパイク)に結合し、宿主細胞表面へのウイルスの吸着を阻害して感染を防ぎ ます。

この効果は、インフルエンザ ウイルスの型にはよらないといわれています。  

茶カテキンのうがいによるインフルエンザ予防効果を調べるために、特別養護老人ホームの入所者を対象とした臨床研究が行なわれました。

緑茶カテキン抽出物(総カテキン濃度200μg/mL、市販されている通常の緑茶ペットボトル飲料の約半分の濃度)で1日3回、3ヶ月間うがいをした結果、水のうがいと比べて、 インフルエンザの発症が減少したことがわかりました。

緑茶にはカテキン以外にも、テアニンビタミンCといった感染に対する免疫力を高める成分が含まれていますので、緑茶の飲用によるインフルエンザ予防効果も十分期待されます。

実際、静岡県茶産地の菊川市の全小学校児童を対象とした疫学調査では、1日1~5杯の緑茶を飲む習慣をもつ児童は、1日1杯以下の場合と比べてインフルエンザの発症が少ないことがわかりました。

冬が近づくと誰もが気になる風邪やインフルエンザ。

生体 は、免疫系の活性と抑制のバランスをうまく制御することにより、病原体が体内に侵入するのを防いでいます。

しかし、 様々な原因で免疫能力が低下する、すなわち病原体に対するバリアが弱まると、感染症にかかる危険性が高くなります。

呼吸器や消化器などの外界と接する粘膜は、病原体の主な 感染経路となっています。

粘膜免疫系は、病原体が粘膜から侵入してくるのを防いでいる免疫システムであり、生体防御の最前線ともいえます。

カテキンの1種であるEGCには粘膜免疫系の働きをよくする効果があることが確認されています。

しかし、このEGCの働きは、エピガロカテキンガレート (EGCG)によって弱められてしまいます。

熱水で緑茶を淹れるとEGCGが浸出しやすくなる ため、EGCの効果が弱まってしまいます。

冷水で緑茶を淹れる(水出し緑茶)と、浸出液中 のEGCGが少なくなり、EGCの効果が発揮されやすくなります。

粘膜免疫系を活性化して病原体の侵入を防ぐためには、冷水で淹れたお茶を飲むのがよさそうです。

アレルギーは、粘膜にあるマスト細胞や血液にある好塩基球上にIgEという免疫グロブリンとアレルゲンが結合してヒスタミンが放出されることによって始まる過剰な免疫反応です。  

メチル化カテキンは、エピガロカテキンガレート(EGCG)エピカテキンガレート(ECG)のガレートの一部がメチルエーテル化された茶カテキンで、「べにふうき」、「べにほまれ」などの品種に多く含まれています。

メチル化カテキンは、マスト細胞や好塩基球でのヒスタミン放出を強く抑えることによって抗アレルギー作用を発揮することがわかっています。

メチル化カテキンを乾物重量で1.5-2.5%含んでいる「べにふうき」緑茶を、1日あたりメ チル化カテキン量が34mg以上になるようにスギ花粉症の症状を持つ人に長く飲んでもらい、 メチル化カテキンを含んでいない「やぶきた」緑茶を飲んだ人と比べました。

その結果、「べ にふうき」を飲むと花粉飛散後の鼻かみ回数や目のかゆみなどの症状が軽減することがわかり ました

また、「べにふうき」花粉飛散1.5ヶ月前から飲んでいた人は、花粉飛散 後から飲み始めた人と比べると、鼻かみ回数、涙量、鼻のアレルギー症状、咽頭痛などで症状が軽減しました

通年性アレルギー性鼻炎の人でも同じような効果が得られています。  

また、アトピー性皮膚炎をもつ小児に「べにふうき」エキスを混ぜたクリームを8週間塗布したところ、ステロイドホルモン剤の使用量がクリームのみの場合に比べて、少なくなったことも報告されています。

老化と認知症の予防

肌の老化予防と美容に効果

ビタミンは人の健康や生命の維持に必須の微量栄養素として、20世紀の全般に発見されたもので、現在13種類が知られています。

それらは、水溶性のもの(ビタミンB1、B2、B6、 B12、C、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)と油溶性のもの(ビタミンA、D、E、 K)に大別されます。

茶葉には、これらビタミン13種類のうち、ビタミンDを除く12種類の すべてが含まれています。  

ビタミンの中で、美容効果に優れ、皮膚や血管の老化を防ぐビタミンとして知られるビタミンCは、茶葉の他、新鮮な野菜や果物に豊富に含まれているので、欠乏になることは少ないのですが、ビタミンCは、熱に弱く、例えば、ほうれん草など、茹でて食べる食材では葉から溶出したり、分解したりして、条件によっては半分位に減ってしまいます。

しかし、茶葉(煎茶) の場合は違います。茶葉の場合は、本来、茶葉から湯で溶出される浸出液を摂取することと、 茶葉に豊富に存在し、強い抗酸化力を発揮する茶カテキン(バイオフアクターの一種)が同時に溶出されてきて、ビタミンCの分解を防ぐので、ビタミンCを効果的に摂取できるのです。

これは、ビタミンCに限ったことではなく、他の水溶性ビタミンについてもいえます。

また、 抹茶の場合には、油溶性のビタミンについても同様なことがいえます。

このようなお互いの“共存効果”は、人の体内でも“リサイクル効果”あるいは“節約効果” として、近年認識されるようになってきました。

例えば、各細胞の膜中にあって、細胞膜の安定化に寄与するビタミンEは、一旦酸化されても、細胞の外側にあるビタミンCによって、元のビタミンEに戻されるのです。  茶葉には、多くのビタミンやバイオファクターがバランスよく共存しているので、それらすべてを効率よく摂取することによって、“総合ビタミン剤”、あるいは“スーパーサプリメント” としての価値を享受できるものと思われます。

greentea catechin

脳の老化を防ぎ、認知症を予防する

わが国では高齢者が急速に増加していますが、それに伴い認知症の患者数も急増しています。

認知症は高齢になるほど患者数が増えることから、「年をとること(加齢)」は認知症の最大の危険因子です。

またアルツハイマー病を含め認知症は、完全に治癒できる方法がまだないことから、「予防」が最も重要となります。

「年をとること」は止められませんが、老化を予防する ことにより、認知症となる危険率を低下させることは可能です。  

お茶(緑茶)にはカテキンという渋みの成分 や、テアニンという旨みの成分などが 含まれていますが、このカテキンテアニンには老化、特に脳の老化を、予防する効果があることがわかってきました。  

私たちの体の中で過剰に産生される活性酸素は酸化傷害を引き起こし、その蓄積が老化の一 因となっていると考えられています。

カテキン強い抗酸化作用を示すことから、ネズミカテキンを毎日飲ませたところ、活性酸素による酸化傷害が減り、加齢に伴って認められる 脳の萎縮や学習・記憶能の低下も抑えられることが明らかとなりました。

一日数杯のお茶(緑茶)を飲 んでいる人では、飲まなかった場合に比べて脳の老化が抑制されているのではないかと考えられます。  

また、現代はストレス社会といわれ、多くの人が何らかのストレスを抱えています。

長期にわたるストレスは、「うつ」や認知症などの引き金となるだけでなく、老化を促進すると考え られています。

実際、ネズミに長期にわたりストレスを与えると、寿命が短くなることが明らかとなりました。それに加え、脳の萎縮や学習・記憶能の低下が促進されることがわかりまし た。しかし、同じようにストレスを受けていても、テアニンを摂取していた場合は、ストレス による寿命の短縮や脳の老化の促進が抑えられることが見出されました。このようなテアニン抗ストレス作用は、お茶(緑茶)に含まれるカテキンカフェインによってある程度打ち消されてしまうのですが、テアニンを多く含むお茶(緑茶)を飲むことによって、テアニン抗ストレス効果が発揮されることもわかってきました。

美味しいお茶(緑茶)を毎日飲むことにより、知らないうちにスト レスに打ち勝つ力も身につくと考えられます。  

以上のことから、お茶(緑茶)に含まれるカテキンテアニン脳の老化を防止することにより、 認知症予防の効果をもつと推察されます。

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ストレスの緩和

お茶(緑茶)を飲むとホッとする

新茶や美味しいお茶を飲むと、その味だけでなく、香りや色からもホッとします。

この現象は、お茶に含まれる成分で説明できるようになってきました。

緑茶特有のアミノ酸であるテアニンは、脳で重要な働きをしているグルタミン酸に化学構造が似ています。

そのため、テアニンも脳で何か作用をしているのではないかと考えられます。

いくつかの動物実験の結果、動物に与えたテアニンは、脳に取り込まれ、脳内の神経伝達物質に影響を及ぼすことがわかりまし た。神経伝達物質とは、記憶・学習、情緒、睡眠、食欲など、各種の行動をコントロ ールしている物質なので、テアニンが脳の働きにも影響を与える可能性を調べるために、いくつかの記憶・学習に関する試験を行いました。その結果、テアニンをラットに与えると、記憶・ 学習に関係する脳機能の改善がみられました。

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脳波への影響:リラックス効果

人に対するテアニンの影響を調べるために、まず脳波を測定しました。その結果、テアニンを摂取してから30-40分後に、リラックスした状態の時に出るα波の放出頻度が増加しまし た。そこで、テアニンにはイライラを鎮める効果があると考え、女性特有のイライラ 現象である月経前症候群(PMS)に対するテアニンの効果を調べました。PMSの症状のある 女性に排卵予定日から月経までの期間、本人にはわからない状態で、テアニンまたは偽薬を飲 んでもらった結果、精神的な愁訴に対しても、あるいは身体的な愁訴に対しても、テアニンは 症状を改善しました。

昔から「お茶を飲むとホッとするね」といわれているのはこのことだと 言えると思います。現代のようにストレスの多い社会では、リラックスするひとときを持つこ とは大切であり、高齢化による脳機能の低下を防止する上でも、緑茶は大変に有用な飲料であ ると思います。

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酸化ストレスを防ぐ

茶葉には抗酸化性のあるビタミンCやカテキン類などが豊富に含まれています。

これらは、水やお湯に良く溶けて、お茶として飲むことによって、手軽に体内に摂り入れることができま す。

よく知られているように、ビタミンCは、体タンパク質の約30%を占めるコラーゲンの 生成に不可欠の栄養素であり、また生体組織を構成するタンパク質や脂質、炭水化物、さらに は、DNA(核酸)の過酸化を防ぎ、体内代謝や情報伝達の健全性を維持する上で、極めて重要な役割を果たしています。

一方、茶カテキン、特にEGCGは、少なくとも試験管内のいろいろな実験で、ビタミンCを上回る強い抗酸化性があることがわかっています。  

私達は、毎日、空気中の酸素を体内に取り入れ、食事由来の食品成分を酸化的に代謝して、 エネルギーに変えて生活していますが、精神的、肉体的に強いストレス(不安や恐怖、死別、 外界からの強い光や、放射線、様々な化学物質)を受けると、この酸素の一部は、活性酸素・ フリーラジカルとなり、いわゆる“酸化ストレス”を引き起こします。そして、がんや循環器 系の疾患、呼吸器系、消化器系の疾患など、多くの病気の原因となります。この生体内で生じ る活性酸素・フリーラジカルとすばやく反応して、無害にするのが、実はビタミンC茶カテキンです。  

お茶、あるいは茶カテキン1ヶ月連続して摂取した人の体内でのDNA(核酸)の酸化生 成物8-OHdG(8-ヒドロキシデオキシグアノシン、突然変異やがんに関連するバイオマーカー) が、それらを摂取する前の尿や血中の値に 比べて低いことが証明されています。

また、 血中LDL(いわゆる悪玉コレステロール) の酸化(動脈硬化の発症に深く関連するバ イオマーカー)に及ぼす緑茶抽出物の効果を調べた研究では、緑茶抽出物300mgを 1日2回、朝食および夕食前に1週間摂取 した22名のボランテアの血中LDLの抗酸 化性は、緑茶抽出物を摂取しなかった場合 に比べて増加していることが明らかになっ ています。  

以上の他に、お茶にはリラックス作用があるといわれるテアニンが入っています。 “抗ストレス飲料”としてのお茶を常日頃から飲むことにより、生活習慣病の発生や老化を 防ぎ、身心ともに健康な状態が維持できるものと思われます。

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放射線による害を防ぐ

近年、放射線の生体への影響が大きな問題となっています。放射線はα線、γ線、X線など に分類され、これらによって体の中の水が分解されて、不安定なヒドロキシラジカルなどの活性酸素種(ラジカル種)ができます。これらのラジカル種は体の構成成分である核酸、タンパ ク質、脂質などと反応して、さまざまな障害を引き起こし、場合に よっては発がんにもつながるといわれています。したがって、放射 線被爆による様々な影響を減らすことは、健康的な生活を営む上で重要です。

これまでに、緑茶抽出液に放射線防護効果があることが報告されています。茶カテキンなどの緑茶に含まれる成分が、ラジ カル種を消去し、さまざまな障害を取り除きます。  

実際に、マウスにγ線を照射し、それによって引き起こされる染色体異常に対する緑茶抽出液の効果を調べた結果、緑茶抽出液は染色体異常を減らすことがわかりました

また、この作用には緑茶およびカテキンなどの抗酸化力(ラジカル種消去作用)が寄与していることもわかりました。  

緑茶は日本人が日常的に摂取している飲料であり、継続的に放射線の影響を受けた場合 でも、その防護効果が大いに期待できます。

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食中毒や虫歯予防

食中毒予防の切り札

細菌性食中毒は食中毒の約5割を占め、毎年1万人前後が発症しています。

原因菌としては カンピロバクターサルモネラ黄色ブドウ球菌腸炎ビブリオ腸管出血性大腸菌O‒157 などが主なものです。

細菌性食中毒は2つのタイプに分かれ、カンピロバクターサルモネラ腸炎ビブリオは感染型で、黄色ブドウ球菌O‒157は毒素型です。

黄色ブドウ球菌は、食べ物内で増殖して腸管毒を作り出します。この毒素を食べ物といっしょに摂取することで食中毒 が起こります。O‒157は食べ物といっしょに摂取された後、腸管内で増殖する時に、べロ毒素を作り出して食中毒を引き起こします。  お茶に含まれるカテキンが殺菌作用と抗毒素(解毒)作用をもつことは実証されています。 茶カテキンは、多くの病原菌の細胞膜や細胞壁を破壊し、抗生物質と同じような作用で殺菌し ます。また、茶カテキンは、病原菌が作り出す多くの毒素に瞬時に結合して毒素の力を失わせ、 抗毒素抗体と似た作用で解毒します。茶カテキンの殺菌作用と抗毒素作用は、日常飲んでいる お茶に含まれるカテキン量で充分に発揮されます。茶カテキンのなかではエピガロカテキンガ レート(EGCG)がこの作用の主な担い手です。茶カテキンは、細菌性食中毒原因菌のほとん どを数時間から24時間以内に殺菌することができます。O‒157の場合、1万個の細菌が、日 常飲んでいる濃度のお茶1mlで3時間から5時間のうちに完全に殺菌されます(下図)。ごく 少量の茶カテキンが腸管毒やべロ毒素を解毒することは、試験管内の実験だけでなくマウスを 使った感染実験でも実証されています。  茶カテキンは酸に強い性質をもち、また体内に摂取された茶カテキンは大腸まで到達します。 それゆえに、食事中や食後に飲むお茶は、胃や腸管の中で食中毒原因菌や毒素に対して殺菌作 用および抗毒素作用を発揮して、食中毒を予防できるのです。カテキンを多く含む一煎目のお 茶がお勧めです。この食中毒予防効果は、カテキンを含む緑茶のみならず、ウーロン茶や紅茶 (茶カテキンと同じような効果をもつテアフラビンを含んでいる)にも期待できます。緑茶が 渋くていやだという子供には砂 糖入りの紅茶を飲ませるとよい でしょう。ただし、テアフラビ ンがミルク中のタンパク質と結 合し、殺菌作用や抗毒素作用が 失われることになるので、ミル クティーは避けましょう。緑茶 の場合も、食中毒の予防のため には、牛乳と一緒に飲まない方 が賢明でしょう。

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虫歯の予防、口腔内衛生の改善作用

普段からお茶を飲む日本人、食後にはお茶を口に含み、漱ぎ飲みします。すると、口の中が サッパリし、また食べ物の臭いなども消えてしまいます。さらに、虫歯や歯周病などの原因菌に対しても抗菌作用を発揮することが様々な研究でわかり、人でも確かめられてきました。

虫歯菌は、口の中で砂糖があると不溶性の粘着性グルカンを作り、これが他の微生物とともに歯に付着し歯垢を作ります。この歯垢の中で酸が作られ、この酸によって歯のエナメル質が溶け、虫歯になります。

茶カテキンは、虫歯菌に対して抗菌性を示し、またグルカンを作る酵素(グルコシルトランスフェラーゼ)の働きを抑え、虫歯菌が歯に付着することを抑えます。このような茶カテキンの色々な作用で虫歯を予防改善することがわかってきました。また動物実験では、甘いお菓子(キャラメル、チョコレートやキャンディなど)に茶カテキンを配合す ると、虫歯になりにくいこともわかっています。

こうした茶カテキンの効果を活かして、様々なお菓子や歯磨き、赤ちゃん用のウエットティッシュなどが開発されています。  

一方、歯周病も虫歯と並んで歯を失う口の病気で、中高年層にとって、その予防治療は老後の健全な食生活に重要です。歯周病は、歯と歯茎の間の歯周ポケットに歯垢が溜まり、細菌が繁殖して歯周炎を起こし、歯槽骨が吸収されるとともに、歯茎が退行して、最後には歯が抜けてしまいます。

茶カテキンは、歯周病の原因菌に対して抗菌性をあらわし、歯槽骨の吸収に関係するコラゲナーゼなどの酵素活性を抑えます。

茶カテキンは試験管内実験や動物実験の場合と同様に、歯周炎患者においても効果を発揮して歯周病を改善することが確かめられています。  

茶カテキンには、口臭を改善する効果もあります。口臭は、生理的や病的な口臭、飲食品や嗜好品からくる口臭があります。前者は、体の代謝や分泌物の質や量が原因となる場合や虫歯や歯槽膿漏などの口腔疾患による場合があります。後者は、喫煙、飲酒、ニンニクなどが原因 であったり、口の中に残った食べ物の粕が腐敗したり酸化したりして臭いを発する場合があり ます。茶カテキンは、直接臭いの成分と化学的に結合したり、虫歯菌や歯周病菌の繁殖を抑え たり、また油脂などの酸化を抑えることによって口臭を改善します。このような消臭効果を利用して、ガム、キャンディ、サプリメントなどに茶カテキンが使われています。

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もっと詳しくお茶(緑茶)の成分 カテキン・テアニン についてお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

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